空に続く坂 ⑥終わり
「行くよ、上へ」
合図で
白へびヘテロはからだをじいちゃんのおなかに回して,
坂をにょろにょろ上り始めました。
次に、
ふ~ちゃんがじーちゃんのせなかをやさしく押しました。
次に
大きな犬のちびがふ~ちゃんの背中を押しました。
次に
ごろつきにゃんが大きな犬のちびのお尻を押しました。
すると、
「ぷう~」
大きな犬のちびが一発大きなおならをしました。
みんな😩😩🙀(´;ω;`)ウッ…😩~>゜)~~~
{くっさ^~いよ}
と片手を鼻に充てましたが、
じいちゃんを押す手は離しません。
「くさ~い、くさ~い。この世の終わりのようなくささです」
ありんこ博士はカラスの帽子から一つ羽をいただいて、
うちわにして、空へあおいで、においをとばしました。
カラスがふ~ちゃんの頭からゆっくりと降りて
にゃんのお尻を押しました。
みんなで、
「えんやこ~ら、えんやこ~ら、おっとっと」
一生懸命押しました。
じいちゃんは、いっぽ、いっぽ、坂を上り始めました。
気が付いたら、みんな坂の上にいました。
ふ~ちゃんは道に寝っ転がって空を見上げました。
「ああ、またおんなじだ」
ふ~ちゃんが家の前で寝っ転がって見上げた
坂のてっぺんと、
一本の線で繋がれた空は、
とおくにあって手がとどきません。
空に続く階段もみつかりませんでした。
でもね、坂のてっぺんの神社の桜は
それは見事に咲きみだれていました。
薄桜色の花びらが空をひらひら、ひらひら舞い、
道は桜のじゅうたんです。
空はどこまでも碧く、
桜の木々や花びらのあいまから
差し込む光はキラキラしていました。
「今日、ここにこれて、ほんとによかった。みんな、ありがとう」
じいちゃんがはなびらを手にいっぱいうけて、おれいをいいました。
みんなも
「じいちゃんと来れてよかった。じいちゃんありがとう」
とおれいをしました。
「また、こよう」
ふ~ちゃんは道に寝っ転がって両手を空に差し向けていいました。
帰りは、
とそ神社のほこらに住むキツネが出て来て、
大きな犬のちびと並び
ヘテロが巻き付いて椅子を作りました。
じいちゃんはそれにすわってしゅっぱーつ。
ふ~ちゃんは道に寝っ転がって
俵のように転がって坂を下りました。
「あぶないよ~、みなさんどいてくださあい」
ありんこ博士がごろつきにゃんの頭に載って交通整理。
いちもくさんに坂をくだりました。
駅前にみんなで到着。
じいちゃんはふ~ちゃんちのラーメンをごちそうになって、
みんなにまた背中を押されて家にかえりました。
じいちゃんのばーちゃんが待ってました。
空に続く坂 ➄
しばらく行くと、
「坂は山だ。とても険しくて登れない」
家の中から声がしました。
「見上げると、坂の上の とそ神社の桜が
それは見事に美しかった」
また声がしました。
寝たきりじいちゃんです。
窓に登った、ごろつきにゃんが
「一緒に行くかい?」
と聞くと、
「何年も寝たきりだが、、今日は坂を登りたい」
じいちゃんの横で
伏せていた大きな犬のちびが、
「お供しますよ」
尾っぽを振って吠えました。
「決まりだね。じいちゃんも一緒に出発だ」
ふ~ちゃんは
「えいつ!」
やったねポーズを出しました。
大きなちびが
カーディガンと杖を持ってきて、靴と帽子もです。
みんなは着替えを手伝いました。
すると、
ヘテロが
点滴棒にぶら下がり、
尾っぽを
じいちゃんのおなかに
まきました。
「いーちに~の、に~のぅさーん」
じいちゃんが
ベッドからでて立ったのは
何年ぶりでしょうか。
「拍手を送りましょう」
ありんこ博士が
足と足を重ねて叩くと、
「はかせよ、おいらにもわかった」
ごろつきにゃんが
じいちゃんの足元に顔をすりすりしました。
じいちゃんは
窓際のベッドからいつも見ていた坂の上へ
ふ~ちゃんたちと一緒に歩き出すために足を前に出しました。
桜の花びらが、
じいちゃんの頭や肩に
ひらひらと
舞い降りてきました。
風がもっと暖かくなって
じいちゃんのせなかに吹き付けました。
「春の今日のこの日はとても美しい」
博士がふ~ちゃんの髪とカラスの帽子のすき間から
歌うように唱(とな)えました。
空に続く坂 ④
「今日、も、元気だね」
坂の途中にあるだんごやのおばさんが声をかけてくれました。
「おはようございます。今日も繁盛間違いなし」
ありんこが言うと、
「おいらがあいさつする前になんで博士がいうさ」
ごろつきにゃんが怒って、ふ~ちゃんの頭めがけてジャンプしようとしたとき、
「ほら、おだんごだよ」
おばさんは作りたてだんごをみんなに一本づつくれました。
すると、
みんな笑顔で仲よく、
「ありがとう、おばさん」
すわって団子を食べました。
泣き声が聞こえます。
ふうちゃんは目を凝らして
木の枝のほうを見ると、
あおだいしょうの白へびヘテロ🐍がいました。
「どうしたの?」
「とても悲しくて泣いているのです」
「なんで?」
「一緒に歩きたいのに、私には足がない」
「それがかなしいの?」
「その上、いつもこわがられて。
私はみんなとなかよくなりたい」
「私は転がるのが大好き。
足がないのもいいね。
ヘテロの目は優しいし大好きだよ」
ヘテロにいいました。
ふ~ちゃんのうしろに隠れてた、
ごろつきにゃんがふるえて
「一緒におだんご食べよう。」
と声をかけると、
白へびヘテロはするすると道へ降りて来て🍡を食べました。
空に続く坂 ③
坂の入り口に来ると、
陽が頂上の桜の木々の間から
まぶしく
坂の下まで降り注ぐので、
ふ~ちゃんは
手をおでこにかざして坂の上を見上げました。
坂のてっぺんの空が
四角形だとしたら
4つの頂点まで碧が塗りつぶされて
隙間が見えません。
空とてっぺんはいっぽん線で繋がっています。
「それにしても、この上なくたまらない」
ありんこ博士があんまりまぶしいので
太陽に背なかを向けて
言いました。
どこからかわかりませんが
カラスが飛んできて、
「私が帽子になるので、その手かざしはいらないカッカッガ―」
静かにふ~ちゃんの頭の上に降り立つと、
体をまーるく曲げて
ひょんと横になり、
ゆっくり羽を広げて
帽子のつばをつくりました。
「ありがとね。黒カラス」
博士が、
「意義あり~い、ふーちゃん」
と足をあげました。
「いうならばです、カラスに赤は非存在の実存です。
限界のない黒の宇宙で黒と言う意味は無意味です」
ごろつきにゃんは目を上下、右左、くるくるさせて
考えました。
頭が混乱しちゃって、
「博士よ、ちい―っとは
おれにもわかるっさー
となるように言えい」
と、怒りだし、
カラスとふ~ちゃんの髪の間にいる博士を
爪ではじき出そうと飛び上がりました。
すると地面から空へ向かって風がひと吹きし、
たくさんの花が木から離れて舞い降りてきました。
「行くよ、上まで」
ふ~ちゃんが天に向かって言いました。
空に続く坂 ②
駅前広場には
人が両手を広げたように
右と左に道がわかれています。
左は国道に続く道ですが、
右は高くて険しい坂がまっすぐ続いています。
ふ~ちゃんは道路にほおづえついて坂を見あげました。
「きれいですな~。
桜はどの木も花が重なって
いくつもの灯りのようでして。
いまのこの日は
この世の幻想世界の気配といえます」
ふ~ちゃんの頭に登っていたありんこ博士が
坂をながめて言いました。
すると、
「博士よ、ちいっとはおれにも
わかるっさーのようにはなせ」
と、ごろつきにゃんが怒って
彼をつめでピンタしようと前足を上げたとき、
「行くよ、坂の上まで」
ふ~ちゃんがいきなり立ち上がって歩き出しました。
ありはふ~ちゃんの髪の毛に、
猫は傷ついた足を地面にちょっとふれると
すぐあげて
おかしな格好でついてきました。
春爛漫、
風が時々浮かれ気味に
人と道の隙間や
人と人の隙間を
走っていきます。
おひさまが輝いています。
両側に桜の木が頂上まで続いていて、花は満開。
木にも道にも人の肩にも、
ひらひらな桜が舞い降りていました。
タイトル変えました。
前のタイトルは「不動産屋を始めたグランマのゆかいな話」でしたが、
ここまで来て、このブログは私の創作がほとんどとわかりました。
本日、的を絞ったタイトルに変更しました。
空に続く坂①
不動産屋さんのお仕事がんばってます。
先日は短期保険の代理店にもう一件なりました。
また、家賃保証会社2件と代理店契約をしました。
仕事頑張ったりしていて、ふっと一息ついたとき、
いつも何か書きたいなあって思いはじめるんです。
で、書きはじめました。
「空に続く坂」 ①
ふ~ちゃんの家は駅前のラーメン屋さんです。
ふ~ちゃんは家の前のとおりにゴローンと寝転がるのが大好きです。
なぜ?
って理由はたくさんありますが、
その一つ、
友達になった ありんこ博士 と ごろつきにゃん が、
話しかけてくるからです。
きょうもふ~ちゃんは
ラーメン屋と店の前のバス停のあいだを
おむすびころりんのように、コロコロころがり始めました。
「今日もあーあー、ふーちゃんの洋服がだいなしだ」
と市立病院行きのバスを待ってるおじいさんが言いました。
「ふーちゃんあんたもすきねえ。起き上がってこれでもおたべ」
とバス停で次に並んでいるおばさんが
クッキーと濡れティッシュ―をくれました。
「ありがとう」
ふ~ちゃんは寝転がったまま、
手だけ伸ばしてお菓子をもらい、口の中に入れようとしたとき、
背中のあたりから声がしました。
「ちょっとー、ちょっと、ストップ。私をしたじきにしないでくださいよ」
ありんこ博士でした。
「ごめん、これあげる」
ふ~ちゃんはクッキーのかけらをぐしゃぐしゃとつぶすと
手を逆さにして道路に落としました。
「ああ、あぶなかった。もう少しでふーちゃんに殺されるところでした。
さきほど仲間のありたちが
中学生の軍団に踏みつぶされてひどい目にあったばかりで。
気をつけてくださいよ」
ありんこ博士はうつぶせになったふ~ちゃんのおなかあたりにくっついて
クッキーを食べ始めました。
そこへごろつきにゃんがやってきて、
「いいにおいがただよっていまっさー。ごろにゃん」
ふ~ちゃんの手をペロッとひとなめしてから
クッキーをぺちゃぺちゃクチャクチャ食べはじめました。
「ごろつきにゃん、耳が切れて血がついてる。
あっ、足も毛がなくなって血がついてるよ!」
「見られてしまいやしたね、いや、ちょっと、
おいらのねどこにやつがいたんで、けんかさ」
「ふーん、いたい?」
「いや、ねこってものは、人とはちがい、
傷もみた目よりいたくはないんでがんす」
ごろつきにゃんは、いたくないほうの足をぴちゃぴちゃとなめまわし、
顔をふきはじめました。
「けんかはだめ、ばい菌が入ったらたいへんだよ」
「ありがとな、ふーちゃん。しんぱいしてくれて」