空に続く坂 ③
坂の入り口に来ると、
陽が頂上の桜の木々の間から
まぶしく
坂の下まで降り注ぐので、
ふ~ちゃんは
手をおでこにかざして坂の上を見上げました。
坂のてっぺんの空が
四角形だとしたら
4つの頂点まで碧が塗りつぶされて
隙間が見えません。
空とてっぺんはいっぽん線で繋がっています。
「それにしても、この上なくたまらない」
ありんこ博士があんまりまぶしいので
太陽に背なかを向けて
言いました。
どこからかわかりませんが
カラスが飛んできて、
「私が帽子になるので、その手かざしはいらないカッカッガ―」
静かにふ~ちゃんの頭の上に降り立つと、
体をまーるく曲げて
ひょんと横になり、
ゆっくり羽を広げて
帽子のつばをつくりました。
「ありがとね。黒カラス」
博士が、
「意義あり~い、ふーちゃん」
と足をあげました。
「いうならばです、カラスに赤は非存在の実存です。
限界のない黒の宇宙で黒と言う意味は無意味です」
ごろつきにゃんは目を上下、右左、くるくるさせて
考えました。
頭が混乱しちゃって、
「博士よ、ちい―っとは
おれにもわかるっさー
となるように言えい」
と、怒りだし、
カラスとふ~ちゃんの髪の間にいる博士を
爪ではじき出そうと飛び上がりました。
すると地面から空へ向かって風がひと吹きし、
たくさんの花が木から離れて舞い降りてきました。
「行くよ、上まで」
ふ~ちゃんが天に向かって言いました。