不動産屋を始めたグランマの絵のない絵本創作 

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友だちねこ君④

「おれは夢があったから、どんな目にあっても耐えて来れた。

いつか、一度でいい。

ねこ君のようにあそこで寝てみたい、とね」

 

友だちねこ君は、

他の誰かに、じゃなくて、

自分にむけて、ゆっくりと声を出しました。

「夢が叶えば、、おれの夢はなくなる」

「次の夢を持てばいい」

「ねこ君は幸せねこだ。それ、出来る。

しかし、おれは、おれの夢はただ一つ。

おれの一生に、他の夢ってあるだろうか」

「ぼくはきみと出窓に行きたい」

「おれは、

雪の降る寒い冬も、

大雨でびっしょり濡れた日も、

えさがなくてひもじい日も、

夢をみて耐えた。

この夢がなくなったら、

今年の冬の寒さに耐えられない」

 

ねこ君は、

友だちねこ君の足元にうずくまって

静かに頭を伏せました。

「俺にとって、

夢は

死ぬときに一緒に持っていくもの。

叶っちゃいけないものなのさ」

「だから?」

ねこ君は哀しくなって尋ねました。

「だから、おれは、出窓にはいかない」

友だちねこ君はさらに、

「夢があれば、

元気は、おれについてきてくれるからね」

と笑顔で言いました。

 

ひと振りの風が玄関に降りて、

猫の通し口を揺らしました。

 

友だちねこ君は、

「ありがとな」

と、ねこ君の頭をひと撫でし、

それから、

「じゃあな」

と、

小さな出口を押して、

外へ出ていきました。

 

時間にすれば1秒か2秒でしたが、

友だちねこ君には一瞬と思えたし、

地球から見える

天の川に連なる惑星のひとつへ移る

長い時間のようにも感じました。

 

ねこ君は、

「僕が普通に過ごしていることを、

夢に持つ君がいたなんて、

感謝って、こういうことにするものなんだね」

と思いました。