不動産屋を始めたグランマの 絵のない絵本創作 

挿絵書いてくれる人募集します。連絡ください。

魚が泣いた日に哲学が生まれた⑧仮題

魚は身動きひとつせず、少量の水に半分体を浮かせていました。

ほんとに驚きました。

この世にこんなことが起きるなんて考えられませんでした。

魚の眼が潤んでいます。

今にも涙が溢れそうな哀しい顔をしていると思ったら、

嘘ではありません。

魚から一粒涙がこぼれ落ちました。

すると目からしずくが溢れ、

魚が泣いているのです。

辻さんは頭の天辺(てっぺん)から爪先まで

キーンと金属音が鳴り響く

のを止めることができませんでした。

そのとき、

「ああ、魚も生きている」
と。

「住む世界は違うが私も魚も生きている」
と。

「引っ越した理由はそれを確かめるため。

生きることの限りを確かめたくてここに来たのでしょう」

ぴしゃっと叩かれた気がしました。早く帰らなくちゃと、

「船長、釣りはお終いです」

「時間とカネの無駄だ。帰るぞ」

船は既にエンジンをかけられ、浜に向かっていました。

陸に着くと大きなバケツを借りて、イワシ1匹だけ持ち帰ろうとしました。

海の水をたくさん入れたので、重くて重くて。

船長さんが後から車で来てマンションまで送ってくれると言うのです。

「船長、この魚飼うにはどうすればいいですか?」