不動産屋を始めたグランマの 絵のない絵本創作 

挿絵書いてくれる人募集します。連絡ください。

哲学が魚に④(仮題)

急いで船からバケツを取り出して、

転がっている魚を一匹、二匹、三匹、四匹拾いました。

30センチ近くはあるでしょうか。

おなかは白が混ざった銀色で

体の真ん中から上は、きれいな青が光って体を覆い、

背びれに続く頭から尾までは

深海の紺といえる深い色をしています。

ひれはつるっと触り心地が良かったので撫でてあげていると、

「生はうまいぞ」

背中から声が届きました。

 

 夕食は団子汁を添えて、刺身をいっぱい食べて、辻さんはとても幸せでした。

食べものがこんなにおいしいと思えたのは久しぶりです。

「明日も出かけようっと」

と独り言を言ったら、

「いいね、おもしろそうだね」

どこからかじーじの声が聞こえてきました。

「あなた、死んだんじゃなかったの?」

と尋ねても返事はなく、振り返っても誰もいませんでした。 

 

 次の日、

辻さんが浜の先の小さな港へ行くと

数人の女性たちが話に花を咲かせて船を待っていました。

エンジン音と共に堤防の後ろから船が現れると、

人のざわめきはしんと静まり、

船が岸壁に寄せて重しを降ろすと

忽ち元気な言葉と賑やかさが周りを覆いました。

辻さんは気が付いたら

おばさんたちと一緒に魚を運ぶ手伝いをしていました。

陸揚げの景色の中に

抵抗なく入っている自分を感じました。

それから毎日浜へ出かけると、

おばさんたちと一緒にお茶を飲んだり、

の場でさばいた魚のご相伴にあずかったり、

魚をたくさんいただいたりしていたら、

「お魚を自分で釣ってみようっと」

ふっと辻さんは自分で釣ったお魚を食べたいと思い、

海へ出たいと思いました。